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*空空回る 〜07.05.21日記にて公開


 ほほう、その空が欲しいのですかと誰かがのたもうた。
少女は眺めていた空き瓶から視線をずらし、彼を見据える。

「私の興味に興味があるのか。」
「いいえ、いいえ。お嬢様の空いた心に興味がございます。」
「そなたは随分失敬な物言いをする。どこの者じゃ、名乗れ。」
「名乗る名前すらございませぬ。私自身もすっかり空いた者。
その空きもお嬢様ほどではございませぬが……」

老人は言葉を繋ぎ終える前に死に至った。
彼の後ろには少女の付き人が、少女が視線を送るだけで命一つもなんのその。

―しかし名前がある分、お嬢様はよりヒトに近しくございましょう。

羨ましゅうございます。羨ましゅうございます。
老人のうめき声がこだましている。

「これでまた一つ空が埋まった。空いていようがその血肉は糧となろう。」

そうだな、と付き人に問えばコックリと頷く。
さあ次はどの空を埋めようか? 空いたばかりの瓶を見ているのは、喉が渇く。


・このテキストにおける「空」の読み方については特に定義していません。
好きなように解釈していただければ。