top>CG/Novel
>媛儀Prototype/学園の人間は。
創作・『媛儀Prototype』
*学園の人間は。
犬は語る。
図体のでかいその犬は、くわえた骨をものともせず流暢に語る。
「あいつは凄い。お前ら知らないと思うが、あいつ凄いぞ」
あいつって誰さ、応援席に座る誰かが問うたが犬は答えず続ける。
「うちのガッコの生徒だぜ、コッチの人間は相手にならん」
犬はにやりと笑った、ように見えた。
表情は変わらない、こころなしか胸元のチャックが光って見えた。
「とくと見てな、あいつはどんなに潰されても起き上がってくる。そこらのヤツラは比にならん」
犬が語る最中遠く、行進曲が鳴り響く。
「踏まれようが蹴られようが大玉に轢かれようが棒倒しの棒が倒れてこようが
綱引きの綱に引き摺りまわされようが、それくらいのトラブルは全く問題ない」
群集はただ語るのみの犬の着ぐるみをいぶかしげに見ている。
「あの学校の人間だからな」
犬は、二本足でのっしり立ち上がり、応援席を出た。
「あいつの生命力に驚くな、普通の人間共」
振り向いた犬は誇らしげに応戦席を一瞥した。
「ま、オレもあいつと同じ境遇だがね」
そこで言葉を打ち切ると、ふいと競技の行われるトラックに向き直った。
語られる少女は今まさに、徒競走の砂埃にまかれコース目掛けて転びこんだところであった。
「何やってんだお前」
「やー、ちょっと応援しようと思って前に出たらそのまま選手の方に轢かれてしまいました〜」
彼女はまるで何事もなかったかのように立ち上がった。
盛大に付いた足跡、体中に張り付いた擦り傷、彼女の身体が先ほどの事故の威力を物語る。
その、埃にまみれた顔がにっこり笑った。
「先輩、次の競技は媛儀たち出番です。行きましょう」
応援席の群集の視線を浴びながら、傷だらけの少女とデカイ犬は歩いて行った。
さて、ここで犬が語らなかった一つの問題がある。
それは、彼女がどんなに強靭な生命力の持ち主であったとしても……
運動能力がそこに追いつくかと聞けば、否であるという事実。
彼女は実に気楽に平凡に、大変な運動会に立ち向かう。
*いつだっただろう…伺かゴースト最萌え投票形式の運動会イベントで投入した支援SSです。
探したら出てきたので、こちらに創作作品として掲載しておきます。
…書き殴ってます。時間も限られていた文章だったとお見受けする。
▲